江東中医薬学院

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中薬学講座 [番外編]節分 豆まき そして桃仁

 2月3日は節分ですね。恵方巻きの大量廃棄が問題になっていますが、少なくとも東京では恵方巻きなど昔は聞いたことはありませんでした。ハロウィンと同じく伝統文化というよりも商業的なイベントのような感じがしてあまり好きではありません。逆に昔は聞かれた子どもたちの「鬼は外、福は内」の声が聞かれなくなったのが寂しいです。

子供が少なくなったのか、近所迷惑だとクレームが来るようになったのかわかりませんが。

 鬼といえば日本では虎皮のパンツに角が決まっていますがこのスタイルは海外にはありません。方位では鬼門というのがありますがこれは東北、丑寅(うしとら)の方角です。たぶんここから牛の角、虎のパンツになったのではないでしょうか。

 そして鬼を退治するのは桃太郎です。五行学説では五果は「棗・桃・李(すもも)・杏・栗」ですが桃は「金」で五方は「西」。中国の西の女神「西王母」が手に持っているのはやはり「桃」です。五行の相剋の関係にあるのが金剋木。木の五方は東でちょうど鬼門、鬼ヶ島のあたり。桃太郎の話は杏太郎や栗太郎ではダメなのは五行から理解できます。ちなみに五行学説から言えば鬼退治は秋に行ったことになります。

 中国では桃には不思議な力があり鬼(妖怪)を追い払う力があるとされていました。毎年春節に玄関に貼る御札も桃の木の板が用いられていて鬼が入れないようにしていました。北宋の時代、王安石の詩「元日」には「総把新桃換古符(古い札を新しいものに換える)」と元日の習慣を読んでいます。新桃とは桃の木から作った新しい札のことです。

 桃は鬼退治に使われていましたが臨月になっても出てこない赤ちゃんの治療に祈祷師たちは桃の枝を使っていました。そして果たして出てきたのは人の子ではなくて形のない腫瘍(鬼の子)でした。

 現在、中薬学では桃仁(桃の種)を使いますが、桃仁は活血薬であり作用は強く、婦人科で筋腫や内膜症に用いられている。例 桃紅四物湯《医宗金鑑》

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